はじめに|新築時に防音をしておくべき理由

新築を建てるときに重要視する項目として、予算や立地、間取り・デザイン、耐久性・耐震性が上位に挙げられます。そんな中で後回しにされがちなのが「防音対策」。実はこの音の悩みが、住み始めてから後悔する項目として常に上位にランクインしていることをご存知でしょうか?

  • 家の中の会話や子どもの騒ぎ声が外に丸聞こえで近所に気を遣う
  • 夜、車の走行音や電車の音で眠れない
  • 在宅ワーク中、外の音や生活音が気になって集中できない

こうした声は、ここ近年、よく耳にするようになりました。在宅ワークの増加もあり、「音に配慮された快適な暮らし」へのニーズが高まっています。

防音と一言でいっても、その役割は2つあります。
一つは「外からの音を遮断すること」、もう一つは「室内の音を外に漏らさないこと」。
この両方がそろってこそ、住まいは「安心できる空間」になります。

また、重要なのは「防音対策はあとからでは難しい」という事実です。

壁や天井の内側に施工する素材のため、後から手を加えるには壁を剥がすなど大がかりな工事が必要になります。当然、費用も手間も倍以上。構造的に後から対策することが不可能なケースも。

「やっぱりやっておけばよかった」となる前に、あらかじめ検討しておきたい項目である「防音」。
では、実際に防音対策にはどんな方法や素材があるのでしょうか?次の章で詳しく解説していきます。

防音対策の基本(構造・素材・施工方法)

家の「音環境」を快適に保つためには、ただ壁を分厚くするだけでは不十分です。
防音対策の基本概念として、3要素を抑える必要があります。

防音の3要素

  • 吸音:音を吸収して反響を抑える
  • 遮音:音の通り道を遮って、外や隣の部屋に音が漏れないようにする
  • 防振:振動によって伝わる音を抑える

たとえば、声や音楽などの空気の振動に対しては「遮音・吸音」が有効です。
一方、床を踏み鳴らす音や物音などの構造の振動には「防振」が求められます。

素材ごとの特徴と選び方

それでは、防音対策に使われる代表的な素材を見てみましょう。
防音の基本を抑えた一般的な素材には以下があります。

各素材の特徴と用途・注意点一覧

素材特徴用途・注意点
グラスウールガラス繊維が原料。安価で普及率が高く、最低限の断熱・吸音性はあるが、防音効果は限定的標準仕様でよく使われる。外部の音が聞こえやすく、室内の音も漏れやすい。
ウレタンフォーム石油由来。初期性能は高いが、経年劣化で痩せて性能が低下。黒煙を出しやすく、火災時の安全性にも課題がある。耐久性に課題があるため、長期使用には不向き。
セルロースファイバー新聞紙を再利用した自然素材。吸音・遮音・断熱・調湿・防火・防虫すべてに優れ、家全体を静かで快適に保つ。高コストだが効果抜群。新築時に導入するのがベスト。
防音パネル多層構造で遮音性能が高い。吸音材と一体型の製品もある壁や天井に後付け可能。値段によって性能が変わる。基本10〜20dB程度が対応範囲であり、高い効果は望めない
防音シート薄型で遮音性能あり。下地材やボードとの併用で効果を発揮単体では効果が弱く、他素材と併用するのが基本。
防振マット振動を伝えにくくするためのゴムや樹脂素材のマット床下に敷くことで階下への音を軽減。リフォーム向け

各素材の機能性・コスト・新築住宅への適性の比較表

素材 機能 コスト 新築住宅向き
グラスウール
ウレタンフォーム
セルロースファイバー
防音パネル
防音シート
防振マット

✅ セルロースファイバーは高コストだが高機能。新築時に入れると、長期で見れば満足度が高い素材です。

グラスウールとセルロースファイバーの防音性の違い

防音素材の効果を十分に発揮するには、「施工の仕方」も大切です。

セルロースファイバーは専用機材で壁内部に吹き込む必要があり、施工には手間がかかります。そのためグラスウールなどの一般的な断熱材に比べてコストが高くなります。
ただし、密度の高い施工となるため隙間のない防音層を作ることができ、家全体を包み込むことで効果も高くなります。また、防音だけでなく断熱・防虫・調湿・防火といった多機能性を考えると、住んだ後の快適さと安心は段違いと言えるでしょう。

一方、グラスウールやウレタンフォームなどは比較的施工が簡単ですが、経年劣化や隙間ができやすく、防音性能の面ではやや不安が残ります。
このように、素材選びは「価格」だけでなく「性能・持続性」も合わせてチェックしましょう。

【場所別】防音対策とその費用目安

防音対策は、どこを対策するかによって、必要な素材・施工方法・費用が大きく異なります。ここでは、住まいの中で特に防音ニーズが高い場所ごとに、一般的な対策例と費用目安をまとめました。

場所対策例費用目安
石膏ボード+防音シート2枚重ねなど約1〜2万円/㎡
防振マット+フローリング施工約1.5〜3万円/㎡
天井吸音材+遮音シート約1.5万円/㎡〜
窓・サッシ二重窓・防音サッシ10〜30万円/窓
ドア防音ドア、気密性の高いドア8〜15万円/1枚

防音対策は、一面だけ防音しても、他の面から音が漏れるため、壁・天井・床の3面をセットで考えるのが基本となります。
また、

防音性能の8割は密閉性で決まる

といわれるほど、隙間対策が重要です。ドア・窓の隙間対策をするには、二重窓や機密性の高いドアを選ぶ必要があります。

セルロースファイバーは約3.3万円/㎡(約10万円/坪)のため、コストだけで見ると他の素材と比べて高くなります。ただし構造全体で静音性を実現できるため、後からの部分対策よりもトータルコスト・性能ともに優れているといえるでしょう。

【用途別】防音の必要度とコスト感

「そもそも防音ってどこまですべき?」と疑問に思う方も多いでしょう。防音対策をするときは、まず目的を明確にしましょう。

たとえば、在宅ワークであれば床対策は不要でしょう。しかし、子ども部屋となれば話は別。このように目的に沿って対策は変わってきます。

以下の表で、よくある3つの目的別に、防音の必要度と費用感をまとめました。

用途対策範囲費用目安
子ども部屋壁・天井・床(適度な防音)10〜30万円
在宅ワーク壁・天井・窓・ドア(集中環境)30〜50万円
ホームシアター・楽器演奏全面施工(防音室)100万円〜

6畳1間の音楽専用の防音室を作ろうとすると200万はくだりません。セルロースファイバーを使用すれば、通常の断熱材の家よりは高くなりますが、後ほど個別に防音室を作るよりトータルコストは抑えられます。

弊社の「nimo Style Music」では優れた防音性能で音漏れがありません。

  • 「夜泣きの声が外に漏れず、近所に気を遣わなくて済むようになった」
  • 「外の音が気にならず、会議に集中できる環境が手に入った」
  • 「ピアノも映画も、大音量で楽しめるのに家族もご近所も静かで暮らしやすい」

など多くの喜びの声をいただいています。

防音対策の注意点・失敗例

「防音対策をしたのに、思ったほど効果がない…」
実はこれもよくある話です。
そうならないためにも、最初に知っておきたい注意点と失敗例を紹介します。

よくある失敗① 一部だけ施工しても効果が限定的

「壁だけ防音すれば大丈夫だと思っていた」「1箇所やれば音は止まると思っていた」このような話をよく耳にします。

音は、壁・天井・床・窓・ドアなど、あらゆる面から出入りします。特にドアや窓の隙間、天井裏など見落としがちな部分から音が漏れたり、振動が伝わったりします。防音対策は面ではなく、空間全体で捉えることが重要です。

よくある失敗② 素材の選び方で結果が大きく変わる

大手ハウスメーカーの住宅で防音性が高く見えるのは、グラスウールの弱点を補うために、石膏ボードを二重に貼るなどの対策を行っているからです。たとえば、厚さ12mmのボードを2枚重ねて24mmにすることで、遮音性をある程度高めることは可能です。

ただし、それには2つの問題があります。一つは、室内が狭くなる(居住空間の圧迫)こと。もう一つはボード自体は音を伝えやすいため、厚くしても限界があることです。

特に音楽室などでは、防音効果の高い特殊なボードをさらに追加する必要が出てくることも。結局、高額なコストをかけた割に“完璧”とは言えないケースが少なくありません。

よくある失敗③ 音が漏れなくても振動は伝わる

防音というと、「音を遮ること=遮音」だけに目が向きがちです。しかし、本当に快適な空間をつくるには、音を“吸収する”素材=吸音材の存在が不可欠です。

たとえば、グラスウールやボードだけの構成では、音が跳ね返りやすく室内で反響したり、外部に音が漏れたりします。その点、セルロースファイバーは空気を含んだ構造で、音をしっかり吸収して反響を抑え、音漏れを大幅に軽減してくれます。

よくある失敗④:目先のコストに惑わされる

できるだけ安く済ませたいというそのお気持ち、分かります。

セルロースファイバーは、グラスウールなどと比べて施工コストがやや高くなる傾向があります。しかし、住み始めてからの快適性や性能には圧倒的な差があります。

現状では、グラスウールが多くの住宅で標準仕様となっているため、それが当然と思いがちですが、標準=最適ではありません。ご自宅の家族構成や用途に合わせて素材を選んでいく必要があります。

DIYはできるの?メリットデメリット

「業者に頼むのは高そう…自分で防音できないかな?」そんなふうに考えたのなら、まずは「できること・できないこと」を理解するところからはじめましょう。防音対策はDIYでも一定の効果を得ることが可能です。

対策箇所主な材料費用目安(6畳/約10㎡)
防音シート+石膏ボード1.2~1.5万円/㎡(計約12〜15万円)
防音マット+カーペット3~6万円
防音カーテン・二重窓キット1.5~3万円
ドア防音テープ・隙間ブラシ5,000~1万円
全面施工壁・床・窓・ドア総合10~30万円

予算別のDIY目安

  • 低予算例: 隙間対策+騒音源の壁のみ → 約5〜10万円
  • 中予算例: 壁+床のしっかり対策 → 約15〜25万円
  • 高予算例: 遮音等級LL-40相当 → 約30〜80万円(限界あり)

DIYのメリット

メリットを4つ紹介します。

①コストを抑えられる
業者施工の1/3〜1/10の費用に収まる(例:業者100万円→DIY10〜30万円)

②カスタマイズできる
音の種類に応じて、吸音・遮音・制振素材を選べる(例:低音には制振マットが有効など)

③一部だけ施工できる
壁の一面だけ、窓だけ、など予算に応じた部分施工が可能

④賃貸でも対応可
吸音パネルの貼り付けなど撤去可能な工法を選べば可能

DIYのデメリット

一方、デメリットもあります。

①性能の限界
遮音等級LL-45以上の“本格的な防音”は難しく、現実的には30〜40dBの遮音が限界のため、楽器使用などの本格防音は不可能

②素材の知識が必要で施工の難易度が高い
隙間処理・素材の組み合わせが不十分だと、効果が半減する(例:遮音シート単体では効果薄など)

③時間と労力がかかる
週末だけの作業の場合、1ヶ月以上かかるのが一般的

④安全リスクがある
天井施工では、落下事故や建材の重量管理などの危険性も考慮が必要

結論として、DIY防音は10~30万円が相場になります。遮音性能と予算のバランスを取りながら、段階的に施工するのがコツですが、高遮音が必要な場合は専門家のアドバイスが必須です。

防音工事を依頼する際の4つのチェックポイント

「DIYよりもやっぱり業者に依頼した方が確実!」そう思って業者に依頼しようとしたものの、次の疑問が頭に浮かぶのではないでしょうか。

「防音対策は何をどう相談したらいいの?」「どこに頼めばいいのかわからない」「予算オーバーにならない?」「一箇所やれば効果あるのか教えてほしい」など、どこに依頼したら良いのか分からず、立ち止まってしまいますよね。

防音対策は、素材選びと同じくらい、施工する業者選びが重要です。
ここでは、後悔しない防音工事のために、知っておくべき4つのチェックポイントを解説します。

①防音専門の施工実績があるか?
②使用素材の説明が明確か
③見積もりは明細つき(素材費・施工費の内訳)で出してくれるか
④あなたの暮らしに寄り添ってくれるか?

① 防音専門の施工実績があるか?

防音施工は、ノウハウと技術が求められる分野です。「防音もできます」と謳っているだけでなく、実際の施工事例や写真を確認しましょう。

  • 楽器・在宅ワーク用・子ども部屋など、自分が望む用途の実績があるか
  • 素材は何を扱っているか
  • 音に関する基礎知識があるか

② 使用素材の説明が明確か

信頼のおける業者は、素材の特性を分かりやすく説明してくれます。「セルロースファイバーです」だけでなく、なぜこの素材が適しているのか、他素材との比較、音のデータなどを丁寧に教えてくれる業者を選びましょう。

③ 見積もりは明細つき(素材費・施工費の内訳)で出してくれるか

見積もり書に「防音対策一式」だけでは信頼性に欠けます。
以下のような内訳が明確に記載されているかをチェックしましょう。

  • 材料費(断熱材、防音材、防音ドア等)
  • 施工費(施工人数、日数、工法)
  • オプション費(特殊仕様・追加素材など)

また、相見積もりを取るときも、同じ施工範囲・条件で明細があると比較しやすくなります。

④ あなたの暮らしに寄り添ってくれるか?

家作りは、完成したら終わり、ではありません。初期費用だけで選ばず、長く快適に暮らすための“パートナー”として業者を選ぶ視点を持ちましょう。

防音対策を「単なる工事」ではなく、あなたの生活にフィットする提案をしてくれるかは、末長く付き合える業者を見極めるうえで重要です。

  • 子どもが夜泣きするから、近隣の家に迷惑がかからないか気になる
  • 昼間在宅で仕事をするので、外の音が気になる
  • ペットの鳴き声が気にならない家にしたい

など、目的に応じた最適なプランを一緒に考えてくれる業者を選びましょう。

まとめ:まずは予算と用途からプランを考えよう

「防音対策って、やったほうがいいのはわかるけど、結局どれくらい必要なの?」
そう感じた方も多いかもしれません。
まずは、あなたの生活スタイルに合わせて“必要な場所に、必要なだけ”防音することから始めませんか。

最初は小規模な1部屋施工から始めるのもおすすめです。

  • 子どもの泣き声が外に漏れないよう、子ども部屋の壁と天井だけを対策
  • 在宅ワークに集中するため、書斎を静かにする
  • 趣味の映画や音楽を思いきり楽しむために、一部屋だけを防音仕様にする

防音対策は、「今だけ」ではなく「10年後の快適さ」で選ぶことも重要です。
セルロースファイバーは確かに、グラスウールなどに比べて施工コストは高めです。
しかし、住み始めてからの快適性・防音性・断熱性・防虫性・調湿性の差は圧倒的。
実際、施工された方の多くが「もっと早く知っていればよかった」とおっしゃいます。

これは単なる防音材ではなく、「暮らしを快適にする素材」だからこその声です。

「うちの間取りで、防音対策は可能?」
「予算の中でどれくらいできる?」

そんな疑問が浮かんだ方は、ぜひ一度弊社にご相談ください。
生活スタイルや家族構成をもとに、あなたに合った最適な防音プランをご提案します。