はじめに|新築で後悔しやすい「防音対策」
住宅街を歩いていると、家の中からの話し声や、子どもを叱る声が聞こえてきたことってありますよね。
実は私たちが思っている以上に、室内の音は外に漏れてしまっています。
こうした「防音対策」は、住宅を建てたあとに後悔しやすいポイントのひとつ。
実際、注文住宅や新築一戸建てに住み始めた人へのアンケート調査でも、「防音」に関する後悔は、必ずといっていいほど上位に挙げられています。
– 【注文住宅・新築一戸建て購入後に防音対策で後悔したことは?】
(https://bukken.aidagroup.co.jp/column/110/)

「あとから対策をしたら良いのでは?」と思うかもしれません。しかし、防音対策は「後からの対策が難しい」という大きな落とし穴があります。防音材の多くは、壁の内部に組み込む必要があり、完成後に手を加えるのはほぼ不可能。また、建材同士の相性が悪ければ、せっかくの対策も効果が薄れてしまいます。
だからこそ、新築のタイミングで「防音性能の高い素材」を選んでおくことが重要です。
本記事では、断熱材でありながら高い防音性能を誇る「セルロースファイバー」を紹介します。快適な住環境には欠かせない、多機能断熱材のメリットを具体的な理由とともにお届けします。
セルロースファイバーとは?自然素材で叶える快適空間
セルロースファイバーは、断熱材として使用されている天然由来の材料です。新聞紙などの古紙が主原料で、ホウ酸により防燃処理がされています。また、防音、調湿機能も備えた、多機能素材です。
断熱性 | 空気を多く含むので、熱を通しにくい |
防音性 | 繊維が音を吸収して、音漏れを防ぐ |
防火性 | 難燃処理されているため燃えにくい |
調湿性 | 湿度を吸ったり吐いたりして、結露を防ぐ |
エコ素材 | 古紙をリサイクルして作る、サステナブル素材 |
セルロースファイバーがどのように快適な生活につながるのか、3つの理由を紹介します。
理由① 高い吸音性能で暮らしの音ストレスを軽減
セルロースファイバーは高性能な吸音材として、屋外からの騒音を抑えるだけでなく、室内で発生するさまざまな音を吸収して外への音漏れも防ぎます。

たとえば・・・
- お子さんの元気な声
- ペットの鳴き声
- ピアノや楽器の練習音
これらはどうしても大きくなりがちな音ですが、セルロースファイバーがあれば周囲を気にする必要はありません。またスポーツ観戦や映画鑑賞なども「うっかり大声を出して外に迷惑をかけないかな」といった気遣いが不要になり、心からリラックスして楽しむこともできます。
また、室内の音が適度に吸音されるため、音の反響が抑えられ、普通の声量で家族間のコミュニケーションがしやすくなるというメリットもあります。「子どもを呼ぶために大声を張り上げる」という場面も減り、家の中の会話がスムーズになります。

日常的に音に悩まされることは、寝不足や集中力低下、精神的な疲労につながりますが、セルロースファイバーなら外部からの騒音にも高い防音効果を発揮。大きな道路や鉄道の近くに住んでいても、静かで快適な暮らしが実現します。突然の雷雨や強い風の音なども抑えるため、睡眠環境も改善します。
このようにセルロースファイバーは音ストレスを軽減し、快適な生活のサポートをします
理由② 結露やカビの発生を抑える調湿効果
セルロースファイバーの高い調湿効果にも注目です。
室内の湿度が高い状態が続くと、壁や天井に結露が発生し、カビや害虫の繁殖を引き起こします。衛生面での問題だけでなく、アレルギーなどの健康面でのリスクを高めることにもなりかねません。家族の健康を守るためにも、室内の湿度管理はとても重要な要素といえます。

セルロースファイバーは、家一軒分の施工量で約50軒分もの保湿力を持ちます。
湿度が高い夏の間は室内の余分な湿気を吸収し、空気が乾燥する冬場には、溜め込んだ湿気を放出して、室内を快適な状態に整えてくれます。この自然な調湿機能により、エアコンの使用を減らすことができるため、電気代の節約にもなります。
しかし、一般的な断熱材にはこうした調湿効果がほとんどありません。
さらに
セルロースファイバーと木材の組み合わせは相性が抜群。
お互いの良さを引き出し合い、調湿機能を最大限に発揮します。
相性の良くない素材を後から組み合わせてしまうと、壁の中に湿気が溜まりやすくなり、結露やシミの原因になってしまいます。そこで最初からセルロースファイバーと相性の良い木材を組み合わせて施工すれば、湿気が壁内にこもることもありません。つまり、結露やカビの心配がぐっと減ります。

湿度が適切にコントロールされた室内環境は、ストレスが軽減されるだけではありません。家族みんなが健康的に心地よく暮らせる日々へとつながるでしょう。
理由③ 火災や害虫にも強い、安全性の高さ
セルロースファイバーは火災や害虫にも強く、安全性の高さも持ち合わせています。
「紙が主原料なのに火に強い?」と驚くかもしれませんが、秘密はセルロースファイバーに施されている『ホウ酸処理』にあります。

ホウ酸処理をすることで、セルロースファイバーは非常に優れた難燃性を持ちます。実際の試験においてガスバーナーで直接火をつけても、炎が燃え広がることはなく、火に触れた部分が焦げるだけで済みます。万一住宅火災が起きても、セルロースファイバーは燃え上がるのではなく、徐々に溶けるような反応をするため、人体に有害な黒煙や有害ガスの発生を防ぐことができます。
一般的な断熱材は燃える際に大量の黒煙や有毒ガスを発生させますが、実は火災において最も怖いのは、この黒煙です。黒煙が発生すると視界が遮られ、呼吸も困難になり、避難が極めて難しくなります。
セルロースファイバーなら・・・
- 燃焼速度が遅い
- 黒煙やガスもほとんど出ない
- いざという時の逃げる時間をしっかり確保できる
まさに、防災対策も万全と言えるでしょう。
さらに、高い防虫効果もセルロースファイバーの魅力です。
ホウ酸は目薬や医薬品にも使われている成分であり、人体には影響がありませんが、害虫にとっては劇薬だからです。
住宅内の害虫は、壁の隙間や換気扇のダクトなどから侵入し、壁の中で繁殖します。特にゴキブリは、普通の断熱材を使った家では壁内で卵を産みます。一度発生すると何度退治しても完全にいなくなることはありません。

しかし、ホウ酸処理されたセルロースファイバーなら、害虫が壁の中で繁殖することはできなくなります。生活がより清潔で過ごしやすくなる期待が膨らむのではないでしょうか。
また、セルロースファイバーは紙を原料にした自然素材。弊社は自然素材を活用した住まいづくりを大切にしています。窓のアルミなど、建築上どうしても人工素材を使わざるを得ない部分もありますが、家の構造においては可能な限り自然素材で仕上げ、体にも環境にもやさしい家づくりを実現しています。

セルロースファイバーは、このような防火性や防虫性に加え、調湿・断熱・防音効果も発揮します。さまざまな機能を持った、まさに『多機能断熱材』。現在の住宅用断熱材としてはトップクラスの性能を持ち、安心・安全で快適な暮らしを支えるベストな選択肢と言えるでしょう。
他の断熱・防音材との違いは?グラスウール・ウレタンフォームと比較
防音性能の高い素材を選ぶには、他の一般的な素材と比べてどんな違いがあるのかを知っておくことが大切です。
セルロースファイバーと、よく使われているグラスウール・ウレタンフォームとの違いを、以下の表にまとめました。
比較項目 | セルロースファイバー | グラスウール | ウレタンフォーム |
---|---|---|---|
耐火性 | 火がつきにくく、黒煙も 出さず火の回りが遅い | 火は出にくいが、高温で溶けて 熱伝導しやすい | 燃えやすく黒煙を出す (石油由来) |
防音性能 | 高い吸音性で外からも中 からも音が漏れにくい | 普通。外の音が聞こえ、 内の音も漏れやすい | 経年劣化により効果が大きく低下 |
断熱性能 | 調湿効果もあり、 快適な温度を保ちやすい | 一定の断熱性能はあるが、 湿気や熱を通しやすい | 初期性能は高いが、 年数とともに劣化 |
耐久性 | 痩せない・調湿機能あり、 長期的に性能を維持 | 湿気でカビが出ることも。 長期使用には注意 | 1年で1/3痩せることも。 断熱・防音ともに効果減少 |
防虫効果 | ホウ酸成分でゴキブリなどの 侵入・繁殖を抑える | なし | なし |
施工性 | 専用機材と技術が必要、 施工はやや手間 | パネルをはめ込むだけの 簡易施工 | 比較的簡単だが、 痩せやすさに注意 |
コスト | 高め(約3.3万円/㎡)、 効果と安心感は抜群 | 安価(最も普及)、 標準仕様として一般的 | 中程度だが長期的に見ると 性能劣化コストが増える |
採用傾向 | 自然素材志向・快適性重視 の注文住宅で増加中 | 一般住宅で最も多く採用 (コスト重視) | 一部の建売住宅・工務店 で使用 |
上記の比較表の通り、セルロースファイバーは、グラスウールと比べて施工コストがやや高くなりますが、住み始めてからの快適性や安全性、長期性能に圧倒的な差があります。
こうした性能は、一時的な快適さではなく、「ずっと住む家」にふさわしい品質だと私たちは考えています。
弊社が建材を選ぶ際の5つのポイント
- 火に強いもの
- 水に強いもの
- 耐久性があるもの
- 劣化しにくいもの
- 冷熱の伝えにくいもの
これらをすべて満たす素材として、セルロースファイバーは非常に信頼性が高く、長く安心して暮らせる住まいづくりに最適です。
実際の施工事例とユーザーの声
小さなお子さんがいるご家庭では、特に夜泣きなどの声が外に漏れてしまうのを気にされる方が多いです。しかしセルロースファイバーを採用されたお客様からは・・・
- 音漏れを気にせず過ごせるようになった
- 外の騒音がほとんど聞こえない
- 日中のお昼寝や静かに過ごさせたい時でも、ストレスのない穏やかな環境で子育てができる
など実際に使われたお客様から「本当にやって良かった」との嬉しいお声をたくさんいただいています。

まとめ|防音で後悔しないための賢い素材選びを
家づくりで盲点になりがちな「防音」。防音対策は後付けが難しいため、最初の素材選びが重要です。
そこでおすすめなのが「セルロースファイバー」。
新聞紙などを再利用した自然由来の多機能断熱材で、断熱・防音・調湿・防火・防虫に優れています。
- 高い吸音性能で、騒音や生活音ストレスを軽減
- 調湿機能で結露やカビを防ぎ、健康的で快適な暮らしに
- ホウ酸処理による防火・防虫性能で、火災や害虫から家を守る
「うちの間取りだとどうすればいい?」「予算内で収まるかな?」そんな疑問がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。専門スタッフがあなたにぴったりの素材をご提案します。